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予定調和のシーソーゲーム(鳶泥)

にやり。口元が弧を描いた。万事休すの一幕にまるでそぐわない表情を、まわりを取り囲む下っ端共がどやしつける。そのどれにも勝る口の悪さ柄の悪さでそれらをはじき飛ばしてデイダラは、この場の誰にも向けず口元の笑みはそのままに小さく言う。おせぇよ、語尾と羽音が重なる。地面に落ちる黒い影、頭上を横切る白い鳥。誰より見慣れた自慢の造形から、橙色が降ってくる。おまたせしましたぁ、気の抜ける声もたずさえて。


「先輩なにそんなやられちゃってんすか」
「うるせえ。お前が遅れてくるから悪ぃんじゃねえか、うん」
「あーあーこわいこわい、せっかく従順で優秀な後輩が助けにきたってのに…ホラ、まわりの人たちひいてますよ?」
「ひかせとけよ好きなだけ。どうせ嫌でも退く羽目になんだから」


突如として現れた謎の巨鳥謎の仮面にたじろぐその他大勢を後目に、渦中のデイダラはすっかりそちら側。ふざけた仮面の手によっていつの間にか解かれていた雷を帯びた縄が地面に落ちたのを合図に、いまだ羽ばたきを止めず滞空していた真っ白な鳥が一枚、羽を落とす。やけに大きく質量のあるそれは宙を舞うこともせず一直線にその他大勢の中心へ。まるで蜘蛛の子を散らすような様相。なんの感慨もなさげにそれを目に入れて二本、胸の前で指を立てるデイダラ。ご愁傷様、わざとらしくトビが手を合わせる。瞬きの間の閃光と共に鳥は二人のみをすくい上げ急上昇。後に、爆音。
立ちのぼる土煙の中ため息まじりに吐き出されたこんなやり方本意じゃない、の真意が分かっているトビは両手を広げて肩をすくめてみせる。格好つけ。芸術的じゃねえって言ってんだよ。それはそれは。


「あんな雑魚共の中にもそれなりの雷遁使いがいたのは予想外だった」


こうやって一網打尽にすりゃあ同じことだけど。眼下に広がる景色は煙に包まれてかすんで見える。


「先輩髪焦げてる」


今のでじゃないですね件の雷遁使いですかこれ。むっという擬音と眉間の皺が見えてきそうな声色で言うが当然面の表は普段のまま。


「あー切るかここだけ」
「クナイはしまって!」


本日一番の焦りをみせるトビをさも面倒そうな目で見やって、使用頻度の低い忍具はまたその記録を更新する。先輩は慎重さに欠けるんだから。焦げた髪を一房とってさらさら梳きながら、ため息の応酬。


「今回みたいにあらかじめわかってる場合ならいいんですけど、自信と慢心はちがいますよ」
「遠隔操作はチャクラつかうなあ、うん」
「…きらいじゃないですけどね、先輩のそういうとこ」


ぱたん、と白い背に倒れた拍子に金が舞い上を向いた目はすこしだけ、似た色を映した後で閉じられる。つかれた。おつかれさまです。土っぽくなった頬を隣の黒い手が拭っていった。





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(こないだこんなかんじの夢をみたのだ…)(タイトルはサンキューひげちゃん!)

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