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あおいそれ(鳶泥)

《※現代風味》



蝉の声がうるさいから目をつぶっていた。それなら耳をふさげと言われるかもしれないが、問題はそこじゃない。理由なんて三文字で片付く。いくら暦の上では残暑、なんて言っても夏は夏だ。窓辺の床に転がって目をつぶる。気休め程度の風が髪を揺らす。投げ出した腕に何か不自然な冷たさを感じて目を開けると、青い液体の入ったガラス瓶と見慣れた姿があった。


「食べます?」
「…食べる」


どこからこんなもん見つけてきたんだか。昔ながらの手回しハンドルをぐるぐるやると、透明な器にさらさら白い山ができていく。幼子なら氷の粒宜しくきらきらした瞳で見つめたかもしれないが、生憎ここには暑さに負けたそれなりの齢の人間しかいない。机に乗せた顔の半開きの目が回転を追っている内に白い山は完成した。さっきの瓶の中身がかけられて山が少し縮む。瓶にはでかでかとブルーハワイと書かれていた。何の味だか未だよくわからないあれだ。


「お前それ何食ってんの」
「酢醤油ですけど」
「邪道だろそれ…うん」
「そうでもないですって」
「和風なら黒蜜とか、なんかそういうのなかったのかよ」
「そんないいもんウチにあるわけないでしょ~」


じゃあその酢醤油は自分で調合したとでも言うんだろうか。少し気になったけれど、食べる気はないので追究するのはやめておいた。


「そもそもこのブルーハワイだって、店のワゴンで赤札ついてた最後の一本なんですから」
「まあ…定番はいちごかメロンだろうしな」
「買う気なんてなかったんですけどなんか見たら先輩思い出しちゃって」
「どういう意味だコラ」
「え、違いますよ!青くてキレイだったからです!」


こういうことをよく言う奴だ。よくわからないが青いものに目が行くらしい。いつだったかは空を見上げてぼーっとしていたところを車に轢かれかかったとか。直接関係ないにしろ、そうやって死なれでもしたら後味が悪いから気をつけろと言ったら、最期の瞬間先輩のこと考えてたなんてそれはそれで素敵じゃないですかとかぬかしやがったから殴っておいた。それなのに懲りた風もなく出た一言が、恨んだりなんてしないけど枕元には立つかもしれませんねだと。尚の事やめてほしい。


「あ、練乳はありますよ」
「うん?それこそなんであんだよ」
「春にいちご食べた時買ったんじゃなかったですっけ」


とってきますと立ち上がったトビを視界に入れながらブルーハワイに練乳なんか合うんだろうかと想像して、透明になりだした山を崩して一口。やはり何の味かはよくわからないが、暑さは少しマシになった気がする。
暦の上では残暑。いちごを食べたあの時からもうそんなに経ったらしい。来年の今頃このブルーハワイでまた同じような会話をする気がして、ガラス瓶を回して賞味期限の確認をしておいた。





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かき氷つくるトビと食べるデイダラがいたら、それはとってもかわいいなって
そんなかんじの現代風味なふたりの話でした
一緒に住んでるのかもしれないし、そうじゃないかもしれない

実際ブルーハワイに練乳かける種類もあるみたいですね
わたしはいちごに練乳が一番すきです(余談)

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