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カレイドスコープ(鳶泥)

子どもだなあ、と思う。
気まぐれに少しからかえば、面白いぐらいに表情をくるくると変えてみせる。それが見たくてまたついちょっかいをかける。俗に大人と子どもの狭間といわれる歳相応のプライドや反応はわかりやすく、かわいげもある。

反面、あの目を思い出してみたらば背筋にぞわりと冷たいものが走る。どこぞの特殊な性癖を持ったコンビの片割れでもあるまいし。大げさにため息を吐きながら自己嫌悪に浸りたくもなる。
普段とは全く異なる標的を仕留める時の表情。それは紛れもない忍の顔で、空のような青から深海のように深く底知れない色が滲み出し、己の芸術に対する絶対的な自信、それと隠す気も隠しようもない嗜虐性が垣間見える。
そんな一面に出くわしてしまった人間は次の瞬間には塵と消え、生きてそれを知っているのは今この瞬間、隣にいる自分だけとなるのだ。それに少しの優越感を感じないでもないが、すぐにまたからかった後のいつもの顔が見たくなる。
その振れ幅を面白がっているのか、ただいつもの先輩、が健在であることを確認して安心したいだけなのか。

たまに、妙に大人びているなんて思うこともある。
先輩風を吹かしたいだけなのだろうと必要以上に後輩である自分を装っていたが、いつの間にかそれに甘えていることに気づいて閉口。慌てていつもの関係を取り繕うも、そういう時には通じない。子どものくせに。

そうだ、それだ。子どものくせに、その短い二十年足らずを己の芸術とやらに固執して脇目もふらずに生きてきて、随所ではじけて見える色んな一面。そういうところが、


「もー!何なんですか、アンタ一体!」
「はあ?」


静かな部屋に唐突に音になって響き渡った心の叫びに、隅の方で備品の整理をしていた先輩の肩が跳ねる。失態。またため息がついて出る。勢いよくこちらを振り返ったその姿をちらりと見やって、どうだっていい問いかけをひとつ。


「…先輩ってモテたでしょ」
「オイラ里抜けたのいくつん時だと思ってんだよ」
「もったいないなあ~女の子がほっとかなかったでしょうに」
「女にかまってる暇あるんだったら粘土にかまう」
「…先輩って何というか、残念ですよね」
「お前に言われたかねーよ、うん!」


ああ、全く以て残念だ。自覚のないこの人も、自分も。
要するに、この感情は。





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一周年企画@蒼さんより頂いたリクエスト【男らしいゆえに無自覚で男を煽る先輩のトビデイ】でした
男前な先輩の生き様自体に煽られてるトビが勝手にわあわあ言ってるだけです もっとアダルティなのをご所望でしたらすいません…!
はじめはただのガキだと思ってたのに所々でドキッとさせられて、いつの間にか目が離せなくなっての今ですよ
先輩は真っ直ぐ生きてるだけなのです まぶしい!

蒼さん、リクエストありがとうございました!


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