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四月一日の○○(鳶泥)

「先輩なんか嫌いです」

そうきたか。
見え見えの嘘ついてんじゃねぇよ、言いたげな目でデイダラはトビを見た。何故なら今日は四月一日。俗に言う嘘をついてもいい日なのだ。既に飛段などは三回騙されている。ちなみにその内一回の犯人はデイダラである。
誰かの嘘にひっかかる前に誰かを騙すことに成功し、朝から機嫌の良い彼はまだ日も高い内から今日という日に勝利した気でいるが、これが嘘だとわかってしまっていること即ち負けでもあることには気づけていない。その点では今朝騙した飛段とおあいこである。


「もう顔も見たくありません」
「あっそ。じゃあコンビも解消だな、うん」
「サポートもしてあげませんよ」
「オイラぐらいになりゃ手助けなんざなくたってやってけるし」
「ヒマそうにしてる時もかまってあげませんから!」
「清々するな、うん」


両者の間に中黒がみっつ見える。絵に描いたような沈黙だ。万策尽きたり。勝った。
じゃあな、と手を振りデイダラが踵を返した途端。声にならない声を上げたトビがその身にすがりついた。そろそろこの辺りが限界だったようである。
いつもからかわれることが多い分、自分が逆の立場になると目に見えていきいきとするデイダラは、意地の悪い笑みを隠すこともせず振り返った。涙目で(あろう)トビは訴えかける。


「なんで騙そうとしてる方がこんな心痛めなきゃならないんすかもうっ!ボクもう今日嘘つかないッス!」
「そうかそりゃ何よりだな、うん。まあ、オイラは今朝から嘘しか言ってねぇけど」
「…今のも嘘ですか?」
「さあな」


デイダラは上機嫌でトビをあしらった。が、それが間違いだった。あとはコマ送りの動画のように。三コマも進めばいつもの様相。はなれろいやですの押し問答である。一進一退を繰り返しながらデイダラは背後からかかる重力に重い!と一撃喰らわしたところで諦めた。こうなってしまえばあとはトビのペースだ。


「先輩すきですだいすきですー」
「なんだよ仕返しのつもりか?」
「違いますよさっき言ったじゃないですか、もう今日は嘘つかないって」


結局いつもと変わらない状況に盛大にため息を吐きながら、デイダラは頭の上に乗せられた面に向かってこう呟いた。


「オイラはお前なんか嫌いだ、うん」
「先輩のうそつきー」
「うっせ!」


騙そうが騙されまいが、つまるところみんな四月馬鹿。
それだけはもう、間違いないだろう。





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めずらしく行事にのってみようとした結果ベッタベタな話になりました 勝手にやっとけ!!!

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