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あまいのふたつ(鳶泥鳶)

《※現代風味》


かりかりと音を立ててかじられている面を見てやはり木製か、なんて呑気なことを考えた。花と鳥達のテーマパーク。辺りを囲む植物に、宙からぶら下がる花、間を行き交う鳥。ふれあいコーナーで5分と経たないうちに手懐けたオウムは一声かけただけでまっすぐ獲物のもとへと向かっていった。全く、優秀なことこの上ない。


「やっぱり鳥は自由に飛んでる方がいいですよね」


花と鳥達のテーマパーク。の、中にいる真っ白なフクロウを見てそう口走ったのが数分前。馬鹿のようで馬鹿じゃないこいつは当然、あらゆる矛盾を含めた上で言っているし、鳥に語りかけてるわけでもない。今に始まったことじゃないがタチが悪いったらありゃしない。言いたいことははっきり言えと言ったところでのらりくらりとはぐらかし、軽口だけは免許皆伝。それを駆使して煙に巻かれるだけならまだマシで、面倒な時はとことん面倒の塊のようになる。元来こっちもあまり気長な方じゃない。そういう日々のあれやこれやは、オウムに襲撃される一般人の図ができあがるに十分足りて有り余っているわけだ。
尖ったくちばしに丁度いい具合なのかオウムは面をかじるのをなかなかやめないし、わりと軽い木でできていたらしいそれからは橙が剥がれてぽろぽろ落ちている。わあわあ言ってはいるものの、むやみに払いのけようとしないあたりプラス10点。及第点には程遠いが、面倒の上塗りは勘弁願いたいので係員が駆け寄ってくる前にオウムを呼び戻す。一盛り100円で買える鳥のおやつからリンゴを一切れやって、首の後ろを撫でてやると任務を全うしたオウムはそこいらのとまり木へと戻っていった。動物はわかりやすくていい。
さて、さっきまでかじり木だった橙色はというと目先数メートルのところで未だ、わざとらしくおびえた風を装ったままだ。身を少し縮ませて、両手を顎のあたりで揃えて、せんぱいったらひどい!なんて、女子高生でもギリギリの演出。一連のそれに特に言及することもなく、ため息ひとつで終わらせて歩き出すとすぐに追いついてきて並んだ。


「自分が籠だ、なんてうぬぼれてんじゃねえぞ」


オウムの優秀な働きで余剰もほとんど消化されたが、更なる面倒事を呼ばないために釘を刺す。そもそもなんであろうが籠なんざ入るつもりもなければ入ったつもりもないのだ。それぐらい、わからないわけでもあるまいに。花と鳥とを縫う同じ歩幅の音に混じって聞こえてきたのはそうっすね、の一言。聞いてんのかこいつ。
花、鳥、木、花、花、鳥、繰り返す視線の流れにとまった橙色の面。それが思いのほかぼろぼろだったもので。あとで直してやると申し出れば大丈夫ですよこれぐらいと返してくる始末。前言撤回選択ミスだ。多分こいつは一生面倒で、案外馬鹿。


「心配すんなよ。きっちり礼はしてもらうから」
「身体で?」
「じゃあ前払いな、うん」


ささくれ立った面に手をかけたら小さなとげが刺さった。四方を葉っぱやら花に囲まれている。人も人なんかいちいち見ちゃいない。地の利は生かしてこそ。ちょうど陰になった、何かは知らないが宙吊りになって咲く花をうつしたような顔色を見て思う。これで及第点。


「ごちゃごちゃめんどくせえこと考えてんなよ」


出口も近づくとお決まりのみやげ物屋に出くわす。特に用もないのでそのまま門へと向かおうとしたところ。あ、先輩見て。しぶしぶ声の方へ足を運ぶ。


「苗なんかも売ってるんすねぇいろいろと」
「誰が世話すんだよ」
「水やりくらいボクでもしますって」
「なら食えるやつがいいな、うん。なんかねえかな」
「その徹底した実用主義きらいじゃないっすよ…」


芸術家なのにね~と手近な苗に話しかけている奴はほっといて、棚に並ぶそれらを見やる。とは言っても両方植物のことなんて全くわからないので、結局棚に貼ってある小さな説明書きと小さな緑とを交互に眺めるだけになる。しばらくそうこうしているといつの間にかトビが持ってきたのがモンステラという小さな苗。ラテン語で怪物を意味するその苗は、うまく育つとバナナとパイナップルを足したような味の果実をつける、と付け焼き刃の知識を一本指を立てながら明朗快活に話す。数分で従業員に仕上がってきやがった。


「初心者には難易度高くねえかそれ」
「でも食べてみたくないですか」
「よし、任せた」
「ウッス!」


その返事みたいにハキハキと、腹ん中にためてることも言っちまえばいいのに。決めてかかって飲み下されるのは、そりゃあいい気はしない。小さな苗が実をつけるまでを待ってやるぐらいには、こっちだってそれなりに。いくらか長く生きてきて、無駄に固くなった頭はこんな簡単なことに気づかないのだ。


「お前、もっと馬鹿でもよかったのになあ」
「それどういう意味っすか!?」





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とりつかいの デイダラが しょうぶをしかけてきた!

100均にも売ってるモンステラの花言葉は[深い関係、壮大な計画]らしいですヒュ~~お手軽に壮大な計画はじめちゃおっ

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